退職し、ヒョンなことから「よろず相談」という事業を始めることになって、いつの間にか3年以上になりました。福利厚生やメンタルヘルスとして企業等と契約し、企業等に会費を払ってもらい、社員等が無料でカウンセラー、弁護士、税理士等に相談できる、という事業内容です。
会社を作って2年間は大変苦しい状態で、人の相談を受けるよりも自分の相談がしたい、というような心境でしたが、周囲の協力もあり、また、各企業とも「うつ」になった社員を抱え、メンタルヘルスに対する関心が急速に高まったようで、時代にのった事業なのかなという感もしております。
相談の多いもので、皆さんの参考となるものもかなりありますので、このホームページ上で、時々紹介したいと思います。
第1回目は、「うつ」について書いてみました。長文になってしまいましたが、これは当社が会員向けに出している機関紙の次号に掲載する記事を少し修正したものです。もともと文章が下手な上、書いているうちに、疲れてしまいましたので、尻切れトンボになりましたが。
「うつは心の風邪です。誰でもかかる病気です。」
「うつ」については、専門家からこのように言われています。しかし、私のような素人には、「心の風邪」と言われると、「誰でもかかる」とは考えにくい病気になってしまいます。
ところが、厚生労働省の資料では、日本人の約15人に1人は「うつ」を経験し、また、過去12ヶ月間には、約50人に1人が「うつ」を経験している、とされています。つまり、50人いると、そのうちの1人は、「うつ」になっている、ということになります。実際、各企業の人事部長等からも、社員の方で「うつ」になる人がかなりいる、ということをお聞きしますので、厚生労働省の数字は実感しているわけですが、どうも「心の病気」というところが引っかかっていました。
「心なんてものは、身体のどこにもないじゃないか。ないものが風邪を引くわけがない。」というのが私の疑問でした。
そこで、いろいろの専門家の書かれたものを調べてみますと、素人としては理解しにくい難しい言い回しが多いのですが、分かりやすいもの探して、さらに少し私自身で理解できる表現で言うと、「うつ」という病気は「セロトニン」というものと「ノルアドレナリン」というものが減少してしまった状態なんだそうです。
脳というのは、約1,000億の神経細胞からできているそうですが、この細胞の間では「歩く」「食べる」というような動作に関する命令や、「意欲」「食欲」等の感情的な命令を神経に伝達しているそうで、神経伝達物質というものがこの伝達する「伝令」の役目を担っている、ということだそうです。
そして、この「意欲」「食欲」といった感情的な命令を伝える「伝令」は、「セリトニン」と「ノルアドレナリン」という名前の神経伝達物質だそうで、これらは、過度のストレスが続くと、減少してしまうのだそうです。「意欲」「食欲」といったもの、いわゆる「やる気」を「起こしに行く」役割の伝令がいなくなるわけですから、なにもかもやる気がおきなくなってしまう。
「なんだ、そうだったのか。」こう思いませんか?
そうだったのです。だから、なにも「心の病気」なんていう必要はないのです。「やる気」を起こさせないのは、「セリトニン」と「ノルアドレナリン」がまじめに働かなくなっているだけなのです。
こいつらがさぼっている原因は、過度のストレス、ということであれば、ストレス社会と言われる現在では、「誰でもかかる病気」ということが当然のこととして理解できます。
また、「うつ」の治療は、「薬と休養」だそうです。「セロトニン」「ノルアドレナリン」が十分働かない状態ですので、これを働かせるようにする薬があれば、風邪を引いたときに風邪薬を飲んで風邪の症状を抑えるのと同様、薬を飲むというのは当然のこととして理解できますし、原因がストレスにある、ということですから、ストレスから開放されるように、休養が必要であることも、素人の私でも納得できます。
「うつ」は、こういう状態ですので、「すべてにやる気がでない」のですから、大変苦しいのですが、一番困ったことは、「死にたくなる」のだそうです。死ぬ必要がないのに、この「セロトニン」「ノルアドレナリン」が十分働いていないだけなのに です。
先日、タレントの坂上二郎さんがテレビで、「自分もうつになった。本当に死にたくなった」といっていました。小川宏モーニングショーで大変人気があった小川宏さん、2枚目俳優の竹脇無我さん、高島忠夫さん、女優の木の実ナナさん、このほかに、私の知り合いで「うつ」を体験した人たちも、同様な発言をされています。
自殺者の大部分の人は「うつ」になっている、と専門家は言います。「うつ」が「自殺したくなる」病気であるとすれば、これも納得できる話です。
警察庁の資料によると、3万4千人を超える自殺者の70%が遺書も残していないそうです。「覚悟の自殺」というものではない人が70%ということになります。こういう人は、ひょっとしたら「うつ」が自殺させたのかもしれません。死んでしまってから、あの世で、「なんで自分は死んでしまったんだ」と後悔している人が、随分いるのではないでしょうか。死んでしまったら、後悔してもどうしようもありません。「死んで花実が咲くものか」です。
「うつ」は再発する、ということも言われます。しかし、この言い方はおかしい。今まで言ってきたような病気が「うつ」ですから、過度のストレスを受ければ、またなるのは当たり前のことであって、これをどのようにして防ぐか、ということはあっても、「再発」というのかおかしい。毎年ひく「風邪」を「今年も再発した」なんて言いますか。
「同じストレスをうけても「うつ」になる人とならない人がいるじゃないか、「うつ」になる人は精神面で弱い人なんじゃないか」。これも違うと言えます。風邪にかかりやすい人とかかりにくい人がいます。こういう場合、風邪にかかりやすい「体質」という言い方をします。「うつ」だって同じでしょう。
「セロトニン」「ノルアドレナリン」ですから、「うつ」にかかりやすい体質、かかりにくい体質、といういいかたの方が、あっていると思います。また、ストレスに強い、弱い、という言い方も、本当は、ストレスに「鈍い」体質、「敏感」な体質、と言う方が、いいのではないでしょうか? なぜなら、専門家によると、真面目で責任感が強く、几帳面な人ほど「うつ」にかかりやすいそうですから「弱い」のではなく「敏感」なんです。
医師でもなく、心理学者でもない私ですが、今まで、多くの方から相談を受け、これをもとに考えると、「うつ」は必ず治る、確信しております。ただし、次の3つの条件が揃う必要があります。
○ 医師の指示従い、薬を飲み、休養する。
○ 職場の周囲が、「うつ」に対する認識をもち、適切に対応する。
○ 家族(夫、または妻)が「うつ」に対する認識をもち、適切に対応する。
相談する人の中には、「うつで休んでいるが、妻にうつに対しての理解がなく、夫婦喧嘩になり、妻が実家に帰ってしまった。」という人も何人かいます。また、「うつで通院しているが、定時の時間で帰宅したいと言うと、上司から嫌味を言われ、落ち込んでしまう。」という人もいます。
「うつ」に必要な「休養」というのは、身体の休養だけでなく、頭の中の休養も必要だということは、「うつ」というものがどういうものかを理解できれば、自然に分かると思います。
癌のような病気は、自分の努力や周囲の協力によって治る、とは言えないでしょう。しかし、「うつ」の場合は、自分の努力(医師の指示に従うことも含め)と周囲の協力によって治る病気と言えると思います。さきほど、「再発はおかしい」と言いましたが、一度「うつ」を体験した人は、どういう状態になると「うつ」になる、というのが分かると思います。風邪にも、うがいや手洗いの励行等の予防措置があるように、「うつ」にもあるのではないか、と思います。
現に、私の知り合いの人で「うつ」を経験した人に聞くと、「完治してからは、疲れると自立訓練法により脳を休めている」という人や、「変だな、と感じたら、早めに受診し、軽い薬をもらって飲んでいる」と言う人、あるいは、「仕事を休んだり、スポーツなどによってストレスの解消をしたりする」という人もいます。
「気は持ちよう」という言葉があります。自分の努力によってストレスに鈍くなるように「体質改善」することもできるはずです。
ここで、問題になってくることは、ストレスの原因になっている事そのもの自体が解決しない限り、いくら休養してもストレスは取れないのではないか、といいことです。
親の借金の保証人になり、自分がその借金を被ってしまった場合、借金の処理ができなければ、「苦しみ」からは逃れられないのではないか。こういう状態では、「薬を飲んで休養」しても、ストレス自体から開放されることはないのではないか。確かにその通りと思います。
このような場合は、借金の処理については弁護士の支援、「苦しい」という「気の持ちよう」は、カウンセリングで、ということになると考えています。「カウンセリングでそういう風に変わるれるか」、本人も変わる(気の持ちようを変える)努力をすれば、変わると思います。
山崎(敦) |